場所:東京大学駒場キャンパス10号館4階(暫定・変更あり) ※前回までの例会と開始時間および場所が異なります
■ 発表1
発表者:伊藤健彦(東京大学・人文社会)
タイトル:「就職活動における不公平が対人行動・政策態度に与える影響:個人的結果の原因帰属の観点から」
要旨 本研究では、就職活動における獲得的地位 (学歴)をもとにした不公平状況が、どう個人の否定的結果の原因推論に影響するのかに焦点を当てた。 大学生を対象としたシナリオ実験の結果、1: 自分が就職活動に失敗することについて自分が所属している集団よ りも優位集団に多く原因を推論する傾向が見られ、 従来の内集団奉仕的帰属バイアス研究 (Hewstone, 1990)と一致する知見が得られた。2: 不公平状況において優位集団に対して原因を推論することは、 優位集団と関わらないという防衛反応に影響し、 その効果は内集団同一視が調整することが示された。
■ 発表2
発表者:高史明(東京大学・人文社会)・寺沢拓敬(東京大学・総合文化)
タイトル:「ツイッターを使ったテキストマイニングの理論と実践 ―コリアンに対する偏見を事例に」
要旨 KHCoderを用いたTwitter(ミニブログサービス)における言説の解析事例を紹介する。まず寺沢が、テキストマイニング/内容分析/計量テキスト分析と一般に呼ばれる一連の手法について簡単に紹介する。次に、高が実際に分析事例報告を行う。テキスト分析題材として、コリアン(朝鮮人・韓国人)に対する偏見の研究を用いる。ツイート(投稿)を収集し分析するためのノウハウの紹介もする予定。
■ 発表3
発表者:岡部大祐 (青山学院大学・国際政治経済)
タイトル:「取扱い注意」―ある看護職のナラティヴ実践における病気の活用と対処
要旨 本発表では、ある女性(看護職)が、がん啓発イベントに参加した際の出来事について語った、不満話を事例として、その中で病気及びそれに罹患した人を、どのように取扱い、結果、どのような行為に従事しているのかを検討する。
発表では、データを分析する際の背景として、語り手が参加した啓発イベントの概要や、調査者との関係、データ収集の方法などのコンテクスト情報を紹介したのち、ふたつの挿話的なストーリーのナラティヴを分析する。
事例には、ナラティヴを相互行為として分析する、ポジショニング分析を援用する。分析では、ある状況では、自身の不満を正当なものとして作り上げ、同時に、有能な医療専門職という、社会的アイデンティティを行う「資源」として病気を用いる一方で、また別の場面では、上述の行為を成すために対処すべき「障害」として取り扱う様子を示す。
最後に、このような分析を通じて、語り手と聴き手の相互行為の中での病気の取扱われ方や、その生み出す効果が、病気の社会的意味の一部を示していることを述べる。
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