2009年7月4日土曜日

第6回例会、7月4日(土)

日時:07月04日(土)14:40~17:50
場所:東京大学駒場キャンパス18号館2階院生作業室(→キャンパスマップ) 


発表者
  • 伊藤健彦(慶応・M2)
発表タイトル:日本における第二言語WTC研究の可能性

発表要旨:
 現在の日本の英語教育の対象の一つである英語学習者の「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度」と英語使用、英語学習の動機づけの関係を明らかにするために、第二言語Willingness to Communicate(以下WTC)研究を行なう。
WTC(コミュニケーションするか否かが自由な状況で、自らコミュニケーションを始める意思)モデル(MacIntyre, 1994)と、日本における第二言語WTC研究の問題点を教育心理学的に指摘した上で、日本人英語学習者における英語コミュニケーション変数と英語学習変数の関係を考察する。まず、従来のWTCモデルではWTCが直接的に言語使用を予測するとしているが、第二言語WTCについての実証的な研究を見ると、第二言語WTCは第二言語使用をほとんど予測していないことが分かる。この原因として、WTCモデルでは動機づけの認知論的アプローチ「期待×価値理論」における「価値」にあたる要因が想定されていないことを挙げ、「価値」にあたる要因を取り入れたWTCモデルを提案する。また、日本における第二言語WTC研究の多くが第二言語環境に特化した「社会教育モデル」(Gardner, 1985)を用いていることについて、外国語環境ではその有効性を十分に発揮できないことを指摘する。そして、代案として、自由記述によって広く日本の学習者の動機を捉えて構造化された、市川(1995)の「学習動機の2要因モデル」を用いる。以上の点を踏まえて、英語WTCと英語学習動機(6つの因子のう3因子:実用志向、関係志向、自尊志向)の積が、英語コミュニケーション使用に強い影響を与えているという仮説を立てた。仮説検証調査では、日本の高校生を対象に質問紙調査法を行い、全体的傾向と個人差の観点からデータを分析するため、共分散構造分析とクラスター分析を行う。
  • イリーナ・ドゥビーノカ(Iryna Dubynka)(東大・M2)
仮のタイトル:ウクライナの日本語非母語話者の中間言語における断りの発話連鎖について (Interlanguage Refusal Sequences by Ukrainian Non-Native Speakers of Japanese)

概要:
第二言語学習において、学習者の言語体系は母語を手掛かりとして目標言語へと向かっていく。このような母語とも目標言語とも異なった学習者特有の言語体系を中間言語という。本研究では、ウクライナの日本語非母語話者の中間言語における断りの発話行為に焦点を当て、インタラクションの中で、断りの発話連鎖はどのように展開していくかについて考察を行う。

現在、修論の構想を練っているところですので、皆様のご意見、ご助言をいただければ幸いです。