2010年5月30日日曜日

第16回例会 (5/30)

  • 日時:5/30 (日曜日): 16:20-17:50
  • 場所:東大駒場18号館2F院生作業室


  • 発表者:津田ひろみ(立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科)
  • 発表題目:
    協同学習の効果に関する質的研究――中学生の自律的学習態度育成の観点から
  • 要旨:
    自律的学習態度の育成を目的として導入した協同学習の効果について参与観察を通して検討する。週一回の中学3年生を対象とした英語リーディング授業において、毎時ワークシートを配布し15分ほど個別に取り組ませた後、4人ずつ分かれて協同学習を行なった。グループ内の相互行為の様子を録音し、コミュニケーション理論に則って分析したところ、教師主導型学習に見られるような固定化した役割分担は見られなかったが、生徒間に先生役、生徒役など力関係が確認された。しかし、間違いの修正を機にどんでん返しが起こるなど生徒間の関係は流動的であり、併せて、先生役に立った生徒は、笑いや語尾(~なぁんちゃって)によって、自分の立場が浮かないよう発話をヘッジする様子が見られた。一方、寡黙な生徒は、仲間の誘導により徐々に学習に参加し役割を分担していた。このように、協同学習では緊張を伴う相互行為を通して自律的に学ぶ生徒の様子が観察された。発表では、具体的な書き起こしに基づく分析例と、(時間が許せば、)指導修了後に行なった協同学習に関する生徒による自由記述の分析結果を関連付けて示したい。