2010年12月19日日曜日

19回例会(12/19)

日時   12月19日(日曜日) 14:40-17:50

場所   東京大学駒場キャンパス18号館2階院生作業室



発表1
  • 発表者   山下里香(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程)
  • タイトル 「在日パキスタン系児童による『南アジア成人の日本語』の使用」
  • 要旨
    本発表では、日本語が流ちょうな在日パキスタン系児童が用いる、『南アジア成人の日本語』について、実例をもとに紹介する。「南アジア成人の日本語」とは、文法的・音韻的に、児童がその他の場面で用いる標準日本語とは異なる特徴をもつスタイルである。また、日本語を母語とする在日パキスタン系児童にも使用が確認された。発表者がモスク英語教室で録音した談話では、その多くが、教師との対立や教師への挑戦を表す場面で現れ、語用論的にある種の機能を担っているということが示唆される。このスタイルのもつ象徴的意味合いに関して、談話外の背景等もふまえながら、現在考察中の考えを述べる。 



発表2
  • 発表者   市川ゆりえ・中竹真依子(いずれも東京大学大学院総合文化研究科博士課程)
  • タイトル ライティングチュートリアルにおけるTAレポートの内容分析
  • 要旨
    本発表では、駒場のライティングセンター(駒場ライターズスタジオ)で行われているライティングチュートリアルにおいて、TAによって記録される報告書(TAレポート)の分析結果を報告する。本研究では、TAレポートの分析を通して、実際にチュートリアルではどのようなことが行われているのか、TAは学生の(ペーパーの)どのような点に着目しているのかを明らかにした。TAレポートの本来の目的の一つは、TA同士の情報共有であるが、ここでのチュートリアルは授業と密接に関係しているため、分析によって明らかになるチュートリアルでの学生とTA間のやりとりの情報が今後のライティングの授業またはチュートリアルの助けになる可能性についても言及する。また、教員にTAレポートに関する質問紙調査を行い、教員がレポートにどのような情報を求め、どのように活用しているかを検証し、TAレポートの意義についても考察する。




2010年11月27日土曜日

第18回例会(11/27)

日時:11月27日(土) 14:40-17:50

場所:東京大学駒場キャンパス18号館2階院生作業室(予定) 


発表者1 寺沢拓敬(東大・総合文化・博士後期課程)
タイトル:日本社会における英語志向/非英語志向 ―英語の象徴性が《機能しない》領域
要旨
日本社会における英語の位置づけをめぐる研究は数多いが、そのほとんどが「英語使用・英語学習の価値を肯定的に評価する人々」を主たるサンプル/インフォーマント/事例としている。つまり、「英語志向」者だけを独占的に取り扱っているのである。もちろん英語に意義を見出している人々だけが興味の対象であればさしたる問題はない。しかしながら、英語をめぐる現象を通じて《日本社会》を論じたり、多くの《日本国民》にかかわる政策論を展開するならば、偏ったサンプル(=英語志向者)から、「日本社会/日本人」という全体性を推定することはアンフェアであるといわざるを得ない。
こうした問題意識をもとに、《日本人》―つまり、志向者・非志向者双方を含む―の英語に対する価値付けを、その階層差に注目しながら検討する。具体的には、社会調査データを統計的に解析することで、外国語教育関係者やいわゆる「国際人」が自明の前提としがちな「英語=重要な言語」という等式が成立しない社会階層/文化領域を明らかにしていく。この一連の作業は、従来、「英語ブーム」「英語崇拝」「英語帝国主義」などと過度に一枚岩的に捉えられてきた日本の英語諸現象に対し、それらに取って代わるべき新たな像を提示するものである。
(※ 発表者が参加している研究プロジェクトの未刊行データを用いる関係で、データの詳細や分析結果は当日ご説明します)


発表者2 谷口ジョイ(東大・総合文化・博士後期課程)
タイトル:日本人帰国児童による英語リテラシー能力の保持 -物語のリテリングを中心に-
要旨
本研究は、海外生活を通じて日本語と英語を習得している子ども(帰国児童)が、帰国後どのように英語によるリテラシー能力を保持・伸長しているのかを考察し、帰国児童の支援教育に貢献することを目的とする。これまでの帰国児童を対象とした研究は、海外で獲得した言語の喪失(そのプロセスなど)に焦点が置かれ、滞在年数や帰国時の年齢といった比較的数値化しやすい個人的な要因が扱われることが多かった。このような現状を踏まえ、本研究では、帰国児童の言語能力を「リテラシー」という概念から捉え、マクロ的な分析手法であるストーリーグラマーを用いて、帰国児童が物語全体をどのように読み、把握し、その内容を整理し、再構成するかについて考察した。また、言語保持の程度が特に高い子どもたちに関する成功事例を細緻に、かつ質的に調査することで、彼らを取り巻く社会的要因を明らかにすることを試みた。
調査にあたっては、6名(6-12歳)の帰国児童を対象に読解力査定を縦断的に行い、両言語によるナラティブに検討を加えている。ナラティブとは、時系列に沿った形で物語を構成する言語活動であり、近年、子どもの言語発達を捉える新たな分析の枠組みとして注目を集めている。また、ナラティブ評価に有効とされるリテリングを用いて、Thorndyke (1977) によって提唱された物語文の記憶表象に関する理論であるストーリーグラマー(物語文法)を分析の枠組みとした上で、両言語による差異を考察している。ストーリーグラマーとは、物語を構成する基本的要素であり、物語の設定、問題解決に至る過程、内面的反応、結果といった段階的な構造がリテリングにおいて生起するかを見た。
データ収集に際しては、米国で広く用いられているDRA(Developmental Reading Assessment)及び、文字のない絵本「Frog, Where Are You?」 (Mayer, 1969)等を使用した。また、子どもたちの家庭や学校、その他の教育機関における両言語の使用状況や学習状況を多角的な視座を持って把握し、日常的に行われる「読み」の活動の量・質に照らし合わせて考察を行うために、帰国児童の保護者への質問紙調査、及び面接調査を行った。
調査の結果、リテリングにおける物語の構成要素は、言語により差異が見られ(日本語においては「内面的反応(Internal Response)」が生起するが、英語には見られない、など)特に物語の設定という点で大きく異なっていた。また、物語の構成要素を効果的に組み込むことができた児童は、教科学習としてのリテラシー活動よりも、むしろ「楽しみのため」「社会的インタラクションのため(メールのやり取りなど)」のリテラシー活動を日常的に行っており、それを支援する家庭環境が備わっていた。物語の導入部分から結末に至るまでの「主軸」を客観的に構成し、その素材となる登場人物や状況などを細部にわたって描写する作業は、子どもたちが日常的に行うリテラシー活動と密接に結びついており、こうした物語構成能力の特徴を明らかにすることは、多言語環境にある子どものリテラシー能力の保持・伸長を考える上で、非常に有効だと考えられる。

2010年9月12日日曜日

第17回例会 09/12(Sun.)

日時:9/12 (日曜日) 14:40-17:50


場所:東京大学駒場キャンパス18号館2F院生作業室(予定)


発表者および発表内容


1. 伊藤健彦(東大・人文社会・D1)

題名:外国人へのステレオタイプ的判断が集団間脅威に与える影響とその脅威が規定する対人行動や態度

博士論文の概要:

日常場面で会った外国人に対して、人はどのような対人判断をして、それが集団間脅威を生起させ、その脅威がどういった態度や対人行動を導くのか、その心理的プロセスを解明することが研究テーマである。特に、外国人へのステレオタイプ的判断による脅威への影響を調べるため、外集団バイアスマップによってカテゴリー分けされた「外国人」を用いる。



2. 永井敦(慶応・教育・M2)

発表題目:

メタ言語能力と英語学力の相関について

発表要旨:

新学習指導要領において小学校外国語活動が必修化され、日本における早期英語教育が現実のものとなりつつある今、一方で、英語教育への新たなアプローチが展開され始めているように思える。それは例えば、大津(2004, 2005, 2006)にて提唱されている「ことばへの気づき」の育成を、小学校の外国語活動の中核に据えようという動きである。

その動きの中において、大津は小学校段階において、児童が「ことばへの気づき」を通じて、いわゆる「メタ言語能力」を高めておくことが、日本のようなEFL環境での意識的英語学習において、特に中等教育での本格的英語教育において、その成果を挙げるには決定的に重要であると述べている。

確かに、大津の議論には、経験的にも同意できる側面は多々あるし、それをサポートする議論も散見されるが、あくまで教育政策に対して提言を行っていく上では、そのエビデンスを提出することが不可欠であろう。それなしには、上記の議論は、机上の空論と言われても仕方がない。

そこで、本研究では、大津の言うように、「メタ言語能力」の高低が、中等教育における英語学習の成否と、何らかの関連を実際に持つのかどうか、実証的に明らかにすることを研究の目的とする。

本発表では、その研究の土台となる、「メタ言語能力」の尺度化、そして「英語学力」の尺度化について、その妥当性を特に議論したい。

<参考文献>
大津由紀雄(編)『小学校での英語教育は必要か』 慶應義塾大学出版会
大津由紀雄(編)『小学校での英語教育は必要でない!』 慶應義塾大学出版会
大津由紀雄(編)『日本の英語教育に必要なこと---小学校英語と英語教育政策---』 慶應義塾大学出版会
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2010年5月30日日曜日

第16回例会 (5/30)

  • 日時:5/30 (日曜日): 16:20-17:50
  • 場所:東大駒場18号館2F院生作業室


  • 発表者:津田ひろみ(立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科)
  • 発表題目:
    協同学習の効果に関する質的研究――中学生の自律的学習態度育成の観点から
  • 要旨:
    自律的学習態度の育成を目的として導入した協同学習の効果について参与観察を通して検討する。週一回の中学3年生を対象とした英語リーディング授業において、毎時ワークシートを配布し15分ほど個別に取り組ませた後、4人ずつ分かれて協同学習を行なった。グループ内の相互行為の様子を録音し、コミュニケーション理論に則って分析したところ、教師主導型学習に見られるような固定化した役割分担は見られなかったが、生徒間に先生役、生徒役など力関係が確認された。しかし、間違いの修正を機にどんでん返しが起こるなど生徒間の関係は流動的であり、併せて、先生役に立った生徒は、笑いや語尾(~なぁんちゃって)によって、自分の立場が浮かないよう発話をヘッジする様子が見られた。一方、寡黙な生徒は、仲間の誘導により徐々に学習に参加し役割を分担していた。このように、協同学習では緊張を伴う相互行為を通して自律的に学ぶ生徒の様子が観察された。発表では、具体的な書き起こしに基づく分析例と、(時間が許せば、)指導修了後に行なった協同学習に関する生徒による自由記述の分析結果を関連付けて示したい。

2010年4月24日土曜日

第15回例会(4/24)

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1周年おめでとう例会
日時:4/24 (土曜日)、14:40-17:50
場所:東大駒場18号館2F院生ラウンジ
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  • 発表(1)榎本剛士(芝浦工業大/立教大学異文化コミュニケーション研究科)

発表タイトル:高校生、英会話、メタ・コミュニケーション


本発表では、埼玉県の某単位制公立高校における「英会話」の授業で行われた、「新しく着任したALTに質問をする」というグループ・アクティヴィティの談話分析をもとに、教室における語用実践の階層性の一端を明らかにすることを試みる。

発表のはじめに、本研究が依拠するコミュニケーション観、そして、そのようなコミュニケーション観に則して分析を行う際に有効であると思われる、「メタ・コミュニケーション」(metacommunication)、「詩的構造」(metrical/poetic structure)、「コンテクスト化の合図」(contextualization cue)、「フレーム」(frame) および「フッティング」 (footing) といった概念を提示する。

つづいて、分析対象となっている授業のコンテクスト情報とデータに関する簡単な説明を行ったのち、「教室談話」研究において典型的に分析対象とされてきた、教師と生徒を主な参加者とした相互行為を見ていく。ここでは、「英会話」という、比較的自由闊達な「コミュニケーション」が志向されているかのように思われる授業においても、「教室談話」というジャンル特有の「IRE構造」(Initiation-Response-Evaluation)がかなり明瞭に観察されることを明らかにし、その結果、着任後間もないALTと生徒との間の非対称的関係が(授業初日から)明確に指標されていることを指摘する。

上記、「英会話」の「教室談話」を踏まえて、つぎに、生徒の机上にレコーダーを置くことで得られた、生徒同士の授業中の会話に焦点を当てる。具体的には、生徒がALTに対する質問を考える際にグループのメンバーと交わすやりとり、また、教師が行う説明に対する反応や、自らのグループ、他のグループの質問中/後にふと漏らされるコメントに着目する。このような、所謂「教室談話」の周辺に位置する談話を射程に収めた「二段構え」の分析を行うことによって、(1)「教室談話」に現れたALTへの質問(=言及指示テクスト)には、ALTに対する純粋な興味というよりもむしろ、他の生徒との関係、授業をどのように面白くするか、といった「高校生」としての関心事(イデオロギー)が強く重ね合わせられていること、そして、(2) 生徒は授業中、そこで行われていることについてのメタ的・(時に辛辣ともいえる程の)批判的な視点を持っており、その限りにおいて、教室内での生徒の英語使用は、生徒が投げかけるメタ語用的意識によって枠づけられている可能性が高いこと、以上の2点をデータから実証する。こうした分析プロセスを通じて、従来の「教室談話」研究ではあまり明らかにされてこなかった、教室で起こる言語コミュニケーション(=出来事)の階層性を示す。


  • 発表2:伊藤健彦(東京大学・人文社会系研究科)

題目:
高校生の英語コミュニケーション行動を規定する心理的過程:日本における第二言語Willingness to Communicate研究の批判的検討とモデルの提案


発表概略:
修士論文では、自己認知の観点から、期待と価値の心理的要因で構成される英語コミュニケーション行動を規定する心理過程モデルを構築した。これまで外国語コミュニケーションの心理過程における先行研究(Yashima, 2002; Hashimoto, 2002; Yashima, et al., 2004)では、Willingness to Communicate(コミュニケーションをするか否かが自由な場合において、自らすることを選択する傾向:以下WTC)の重要性が論じられてきた。しかし、その先行研究において方法論とモデルに問題点があり、そのを改善した上で比較検証をした結果、英語WTCは必要ないことが明らかになり、期待と価値から構成される新たなモデルが妥当であることが分かった。


2010年3月23日火曜日

第14回例会(3/23 tue)

日時:3月23日(火)、14:40~17:50
場所:東大駒場


  • 発表者1:榎本(立教・異文化コミュニケーション研究科)
  • 発表者2:寺沢拓敬(東大・総合文化研究科)

2010年2月27日土曜日

第13回例会(2/27)

日時:2月27日(土曜日)14:40-17:50
場所:東京大学駒場キャンパス18号館2階院生作業室


  • 発表1:片山晶子(早稲田大学)

[Title] A Critical Discourse Analysis of Responses to CLT in Japan's School English?Preliminary Report

[Abstract]
This presentation reports on some preliminary findings from a critical discourse analysis of the responses to communicative language teaching expressed in the printed media by Japanese teachers of English between 2002 and 2009. The analysis is guided by Michele Foucault’s concept of power.
Postmodernism has been an influential guide in studies of education in general when research aims to obtain in-depth, particularized understanding of complex local realities. It is fair to say that postmodern perspectives should be useful for studies of EFL in order to support changes meaningful to local actors in their unique situations.
Japan’s government, industries, and mass media have long been alarmed by Japanese people’s lack of English communicative competence. Despite some interventions including the project to send native speaker assistant language teachers, or ALTs, to almost all the nation’s middle school classrooms, the central practice of school English in Japan has been stably maintained as anti-communication. In 2002, the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology of Japan launched an unprecedented, comprehensive revision of English education in the nation’s school system. An action plan of the revision specifically promotes a transition from L1-medium grammar translation to L2-medium communicative language teaching in the middle school level, and several pilot projects to introduce English-medium classes have been conducted at limited locations. In the advent of the shift to English-medium English classes in all junior and senior high schools in Japan in 2012, the media report negative responses by Japanese teachers of English towards the soon-to-be obligatory method change.
Through a critical discourse analysis of the articles related to the ministry’s action plan published in Japan's four major newspapers and one English education journal between 2002 and 2009, the present paper attempts to describe the formation of "discourse of anti-CLT" in the network of Foucauldian power relations.



  • 発表2:西野孝子(法政大学)

Relationships among Teacher Beliefs, Teacher Practices, and Socioeducational Context: A Multimethods Approach

ABSTRACT

Research appears to have shown that teacher beliefs influence classroom practice (e.g., Burns, 1996; Woods, 1996), but the relationships among teacher beliefs, classroom practices, and various
features of context remain to be investigated. This study examines Japanese high school teachers’ beliefs and practices regarding communicative language teaching (CLT) in its socioeducational context, focusing on how teacher beliefs, classroom practices, perceived teaching efficacy, language learning experience, pre- and in-service training, and other contextual factors interact to influence Japanese high school teachers’ use of CLT.

Data were obtained through a questionnaire, classroom observations, and semi-structured qualitative interviews. The questionnaire was sent to 188 randomly selected Japanese high schools, and 139 teachers responded. Additionally, 12 English classes taught by four Japanese teachers were observed with a focus on how they used communicative activities. The same four teachers were later interviewed.

The questionnaire data were analyzed using the Rasch rating-scale model to confirm the validity and reliability of the questionnaire and to transform the raw scores to equal interval measures. Descriptive statistics showed that despite holding positive beliefs about CLT, Japanese high school teachers have not widely adopted the approach. A path model based on Borg’s (2003) conceptual framework of teacher cognition was then tested. The best fitting path model indicated that
(a) Student-related Communicative Conditions directly impacted Classroom Practices, (b) Positive CLT Beliefs indirectly influenced Classroom Practices via CLT Self-efficacy, and (c) Exam-related
Expectations directly and indirectly affected Classroom Practices. Analysis of the qualitative data revealed that participants learned communicative activities primary in in-service workshops and seminars, modified them to fit their teaching contexts, and then used them with their students.

These findings suggest that socioeducational context and teacher education need to be re-examined if CLT is to become more widely implemented in EFL settings such as Japanese high schools.

2010年1月31日日曜日

第12回例会(1/31)

■日時: 2010年1月31日(日)14:40~17:50


■場所:東京大学・駒場キャンパス・18号館・2F・院生ラウンジ


■発表1

発表者:Joy Taniguchi(東大・総合・言語・M2)

タイトル:English Literacy Retention in Japanese Bilingual Children
(日本人バイリンガル児童による英語リテラシー能力の保持)

発表要旨:
This study presents a case study of three pairs of Japanese returnee siblings to investigate whether any social factor exists affecting their English literacy. Each pair of siblings has similar
language profile, language background and family circumstance, but differ in age. The ages of younger siblings when returning to Japan were 6;8, 7;0 and 7;9, ages belonging to a group reported to be more vulnerable to language loss. The ages of elder siblings, on the other hand, were 9;4, 9;6 and 10;3, ages reported to be less vulnerable to attrition. English speech sample elicited from one-to-one reading conference were collected over the period of 6 months.

The result obtained through the reading conference revealed that their oral reading skill showed no regression, but comprehension skill, especially requiring the high level of cognitive maturation seem to be affected heavily by language loss or the cognitive immaturity due to age. It was also found that even returnee children who had seemingly lost a great portion of their English were capable of performing better in literacy tasks when utilizing various types of communication strategies. In addition, the returnees showed significant improvement in literacy performance on the same text to be read repeatedly, particularly for story-retelling component. Interestingly, although the younger siblings belonged to an age group reported to be more vulnerable to attrition, as for the two of them, there was no evidence of a decline in their overall English ability.

These findings are discussed in relation with social factors as parental attitude, children’s literacy engagement and social network rather than age factor. The general implication of the present study is that 1) parental attitude offering scaffolding, encouragement and assistance in the children’s English literacy practice is crucial, 2) home is an important domain for maintaining L2 literacy, especially when more recreational and social interactional uses are emphasized, and 3) social networks play an important role to maintain and develop their L2 with the viewpoint of the motivation and the opportunity to use English in communicative situation.



■発表2

発表者:中竹真依子(東大・総合・言語・D2)

タイトル:東京で生活する宮崎県出身者の方言意識と言語行動

調査概要:
本研究の目的は、東京で生活する宮崎県出身者の方言意識と言語行動を調査することである。具体的には、移住先の東京のことばと出身地の宮崎のことばに対してどのような方言意識をもっているか、また自身の母方言に対する意識がどのように変化していくかについて調査する。さらには、宮崎のことばと東京のことばをどのような意識に基づきどのように使い分けているかといった使い分け意識についても、Giles
(1973)の提唱したアコモデーション理論と関連させながら考察を進めていきたい。私たちは、日常生活においてコミュニケーションを行う場合、話し手のアイデンティティ、すなわち「自己の属性に対する意識」(真田・ロング,
1992, p.72)に基づいて言語行動を選択する。したがって、ある話し手が会話の中での言語行動について考えるには、話し手のアイデンティティや方言意識を考慮する必要がある。